実相寺実彦の受難
タイトル
【実相寺実彦の受難(じっそうじ さねひこの じゅなん】作・ムッチ
登場人物
四ノ宮:
四ノ宮(しのみや)
新人脚本家。
※劇中劇内で兼ね役があります。(ヤクザA・バーのマスター・少女・店長)
六本木:
六本木(ろっぽんぎ)
プロデューサー。
※劇中劇内で兼ね役があります。(ヤクザB・ヤクザの幹部・バイト・鳩)
実相寺:
実相寺 実彦(じっそうじ さねひこ)
四ノ宮が書くドラマ「実相寺実彦の受難」の主人公。
※劇中劇内で兼ね役があります。(AD)
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深夜の埠頭。全身黒い衣服に身を包んだ一人の男が浮かび上がる。
※劇中劇のシーンです
実相寺:(モノローグ)映画や小説の一場面で、血の味を、鉄のようだと形容するのをよく見かけるが、そいつは本当に鉄を喰った事があるんだろうか?
短い煙草を燻らせ(くゆらせ)ながら、俺はそんな事を考えていた…。
残念ながら俺の鉛玉を喰らった奴らには、それを聞き出す術がない。それを俺が知るのは、俺自身が鉛玉を喰らって、地獄に落ちた時だけだ。
どのみち生きてる間にそれを知る必要もない、か…。俺は考えるのを止めて、吸っていた煙草を投げ捨てた。
俺の名は実相寺実彦(じっそうじ さねひこ)。このすえた匂いの漂う、ドブみたいな街の掃除屋…ヒットマンだ…。
パン職人が早朝、オーブンから焼き立てのパンを取り出すように、配管工が深夜、慣れた手つきで緩んだボルトを締め付けるように、
俺は、表のルールじゃ裁けない人間を、裏の流儀で始末する…。
俺はいつもと変わらない調子で、銃を構えたままドアを蹴破った。
SE「ドアを蹴破る音」
ヤクザA「ぬお…!なんやワレ!どこの組のもんじゃい!?
ここを獄獣連合直系荒鷲会(ごくじゅうれんごう ちょっけい こうしゅうかい)の事務所やとわかっててカチコミかけとんのやろなあ!?」
SE:銃声
実相寺:扉近くに立っていた男の額に、俺は正確に弾丸を打ち込んだ。
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